「吾唯足知」
校長 小山 修
卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。
枯山水の方丈石庭が有名な京都の龍安寺に上図のような図案のつくばい(茶室に入る前に、手を清めるために置かれた背の低い手水鉢に役石をおいて趣を加えたもの。手水で手を洗うとき「つくばう(しゃがむ)」ことからその名があるといわれています。)があります。これは、徳川光圀(水戸黄門)の寄進といわれ、方丈の北側にあるのですが、実は本物は非公開の茶室「蔵六庵」に置かれてあり、一般参拝客が見ることができるのは、複製品なんだそうです。
この図案、真ん中の「口」と上下左右のつくり等を合わせて時計回りに読むと、今回のタイトルである「吾唯足知」となります。これは、「吾唯足るを知る。」ということで、現代語では「私はただ足るということを知っている」となるでしょうか。
人間は欲望があり、夢を叶えるためにも積極的にいろいろなことに取り組むことは必要です。しかし、限りない欲望は、満足という気持ちを得られないことから、結局人を不幸にします。自分にとって何が必要なのかを見極め、満足することなくして、平穏な心を得ることはできません。
人生を生きることも、商売をするにしても、役人でも、国家でも、すべての人間が我欲を張らずに満足の精神で行っていけば争いや、問題も起こさずにすむのではないでしょうか。
さて、保護者の皆様もこの3年間本校の教育活動に、ご理解、ご協力くださりありがとうございました。お子様は、この3月に本校を巣立ちまた新たなステージに進みます。今後家族に見守られながら、社会の一員として活躍することを期待しています。